日本経済新聞に掲載されました:百五銀行、AIで小口融資審査 20年度導入を検討
2019年5月31日付の日本経済新聞に、百五銀行とのAIの融資業務への活用に関する実証実験開始に関する記事が掲載されました。
百五銀行、AIで小口融資審査 20年度導入を検討
<一部抜粋>
百五銀行は、人工知能(AI)を使った中小・零細企業向け小口融資制度を2020年度をメドに導入する検討に入った。デジタル戦略を企画・推進する部署も新たに設け、デジタル技術を活用した業務改革に乗り出す。地方銀行は歴史的な低金利で厳しい収益環境が続くため、最新技術を取り入れることで業務の効率化につなげる。
金融機関向けAI融資審査モデルを開発するココペリ(東京・千代田)と、AIを用いた法人向け融資業務の実証実験をこのほど始めた。預金口座の細かな入出金状況や財務情報などのビッグデータをAIが分析し、融資の可否や可能額、金利を算出。行員による審査結果と比べた精度を検証する。実験期間は9月末までで、500万〜1000万円程度の小口融資を想定する。通常の融資は過去の決算書類などをもとに審査するため、現状の企業実績を把握するのが難しい。日々の入出金が分かる口座情報をAIが分析することで企業の毎日の売り上げや固定費の支払い状況など「リアルな返済能力」を判断し、融資の可否や額を精緻に導き出すことが期待できるという。融資の申し込みから実行までの時間短縮も目指す。現在は行員による財務分析などに時間がかかり、融資までに早くても2週間ほどを要する。AIの導入で審査時間の半減を狙う。これまで人や時間を割いてきた業務をAIが代行することで、行員は新規顧客の獲得などに注力できるようになる。
百五銀は4月に始まった21年度までの中期経営改革でIT(情報技術)・デジタル改革を柱のひとつに据え、組織も見直した。中計の開始に合わせ「デジタルイノベーション部」を新設し、行員約10名を配置。これまで各部で進めてきたデジタル化を統括し、中長期の戦略を描く。
日銀の大規模な金融緩和で地銀の収益環境は苦しい状況が続く。低金利による利息収入の減少を補うには貸出業務に次ぐ収益の柱をつくること、コスト削減が欠かせない。金融とITを融合させたフィンテックが台頭するなか、既に三菱UFJ銀行などが住宅ローンの事前審査でAIを活用している。
百五銀の19年3月期の経営効率を示すコアOHR(経費率)は74.4%だった。中部8地銀の中では最も低いが、経費率が70%程度の上場地銀の平均と比べると見劣りする。デジタル化による業務効率の向上でコスト削減を狙う。